
1A「言語発達遅滞の評価と支援」 東京学芸大学 藤 野 博
言語発達遅滞は様々な原因で起こります。本講義では、ことばの遅れのみに問題を生じ、読み書き障害の原因にもな
る「特異的言語発達障害」や自閉スペクトラム症を背景とする語用や会話の問題などに焦点をあてます。そして、それ
らの障害のことばの発達の特徴、アセスメントと指導・支 援・配慮の方法について概説し、子どもの興味関心を活か
したコミュニケーション支援の例なども紹介します。
1B「吃音の基礎知識と新たな視点」 東京学芸大学 伊 藤 友 彦
吃音については世界中で多くの研究が行われ続けていますが、原因はまだ明確にはわかっておらず、誤解や偏見が多
くみられます。吃音のある子どもたちの理解と支援のためにはこれまでの研究で明らかになっている吃音の基礎知識と
最近の知見を理解しておく必要があります。今回は新しい知見として昨年出版された米国の代表的な教科書の中から吃
音のある子どもの指導の基礎となる情 報を紹介します。
1C「幼児期の発達とことばの獲得」 元國學院大學 石 川 清 明
乳幼児期の言語発達は、中枢神経系をはじめ、身体発育、運動機能、知的発達、情緒の分化、社会性の発達など、ほ
ぼ全ての発達の側面と相互に関連しながら急速に発達する特徴があります。その一方で上記の発達上の問題もこの時期
から見られはじめ次第に拡大します。言葉を中心に発達の諸側面相互の関連や言語発達の条件に関する基礎知識につい
ての理解を深め、幼児ならびに保護者を対象にした指導のポイントを考えてみます。
2A「言語発達遅滞の支援の実際」 東京学芸大学 大 伴 潔
本講座では、「語彙を育てる」「文を構成する」「文章で表現する」「効果的に伝える」といった言語領域の発達過
程を概観しながら、適切な支援目標の立案と、興味を持たせる課題を通した支援について考えていきます。言語評価法
の例として学齢児版のアセスメント「LCSA」を取り上げ目標設定のあり方を考えるとともに、言語発達支援の効果
的なアプローチについて検討します。
2B「吃音児の理解と支援の実際」 金沢大学 小 林 宏 明
吃音のある児童生徒の指導・支援では、児童生徒を包括的に理解した上で、保護者や学級担任と連携して家庭や学校
の環境調整を行ったり、吃音の一般的知識の学習や自身の吃音の特徴の把握、吃音の言語症状・心理症状を軽減・緩和
する方法の習得などを通して、吃音の困難の軽減を図ったり、吃音と折り合いをつける方法を探究したりします。本講
義では、事例に基づき、これらについて考えます。
2C「ことばの育ちを支援する教育・保育臨床」 元國學院大學 野 本 茂 夫
ことばに問題や悩みのある子どもの臨床相談は、子どもや保護者と信頼関係を築き複雑に絡み合ったことばの育ちの
結ぼれ(絡み合って解けにくいこと)を解きほぐしていく協働作業ともいえます。その中でもかかわりの難しい子どもの
ことばの臨床相談では、その結ぼれを解きほぐす「緒(お・い とぐち)」を見つけることの難しさに直面します。この講
座では、その結ぼれを解きことばの育ちを支援する教育・保育臨床の実際を考えます。
3A「構音障害の評価と指導の基本」 昭和大学歯科病院 武 井 良 子
構音検査を実施したけれど、どの音をどのような順番で指導したらよいかわからないという経験はないでしょうか。
この講座では、構音検査結果のまとめ方と検査結果を指導プログラム立案にどう活かすかについて解説します。また、
すべての構音障害に共通する構音指導の基本的なポイントについてお話しします。構音指導成功のために絶対に欠かせ
ない「基本」について一緒に見直して みましょう。
3B「子どもの発達を促す関わりことば」 公益社団法人 発達協会 湯 汲 英 史
子どもが発達する目的ですが、「自分で考えて判断し、適切な振る舞いが取れるようになること」とされます。子ども
が判断するときには、基準が必要となります。ところが子どもは、大人のような判断基準を持たずに生まれてきます。
大人が子どもに伝えるべき、社会性の育ちと密接に関係する「判断基準=関わりことば」について紹介します。
3C「聴覚障害児の評価と支援」 大東文化大学 齋 藤 友 介
難聴児をとりまく社会的状況は1990年代から世界的にも激変し、私たちは激動の時代に身を置いています。この講座
では「新生児聴覚スクリーニングの普及」「人工内耳装用児の増加」「手話の(再)活用」・・・といった、難聴児に
携わる者が避けて通れないそれぞれのキーワードを踏まえつつ、これからの難聴児教育について皆さんと考えていきた
いと思います。
4A「側音化構音・口蓋化構音の評価」 昭和大学歯科病院 山下 夕香里
側音化構音と口蓋化構音の指導に日々苦労されている先生方は多いと思います。側音化構音や口蓋化構音について正
しい知識を持つことが初めの一歩になります。音の聞き取りのポイントや異常な舌の観察法について動画を紹介しなが
ら解説します。はじめての先生方は「わかりやすい側音化構音と口蓋化構音の評価と指導法」(学苑社,2020)に目を通
していただくとわかりやすいです。
4B「発達障害児の理解と支援」 船橋市立船橋小学校 大 山 恭 子
発達障害のある子どもは、同じ障害であっても困り感は人それぞれです。そのため、効果的な支援を行うためには、
子どもの特性を把握し、その子どもにあった手だてを考えていく必要があります。この講座では、障害の特性に応じた
具体的な支援方法(手だて)や、学級担任や保護者、医療との連携のポイントについてご紹介します。
4C「難言教育における子どもとの関わり及び教室経営の基礎・基本」 国立特別支援教育総合研究所 牧 野 泰 美
きこえとことばの教室は、様々な教育的な関わりや取組を通して、難聴や言語障害のある子どもの暮らしの充実、さ
らには生き方を支える場としての役割を担っています。きこえとことばの教室の担当者に求められること、担当者が大
切にすべきことは何でしょうか。難聴・言語障害教育における子ども理解や子どもとの関わりの視点、子どもを支える
上で重要な教室経営の基礎・基本についてお話しします。
5A「側音化構音・口蓋化構音の指導」 昭和大学歯科病院 山下 夕香里
側音化構音や口蓋化構音のお子さんは、発音時に奥舌が盛りあげたり、前に出すと細長く緊張するなど異常な舌運動
がみられます。そのため音を作る指導の前に舌を横に広げて奥舌を下げたり、舌の横の感覚や舌先のコントロール性を
高めるなどの舌のトレーニングが必要です。実際に体験していただきたいので鏡、舌圧子、ストロー(細いもの)、ペ
ンライトをご用意ください。4Aの本が参考になります。
5B「こども発達相談センターにおける発達相談と保護者支援」 船橋市子ども発達相談センター 井 上 泉
わが子の発達の遅れや問題行動について気づいたり、初めて指摘を受けたりした保護者は不安になり、動揺します。
当センターでは、そんな保護者が、お子さんを理解し、その子らしさを生かした子育てができるように支援をする、幼
児の発達相談を行っています。こどもの発達特性を理解する視点、またそれを保護者の理解につなげる上で大切にして
いる視点等について、事例も交えながらお話します。
5C「聴覚障害児の支援の実際」 筑波技術大学 長 南 浩 人
発達早期に聴覚障害を有した子どもの多くは、言語や認知、学力、社会性、感性など多様な発達面で健聴児とは異な
る育ちを見せます。本講座では、その具体例を通して何が育ちの課題であるのかを明らかにし、またそれに対して心理
学的な考察を加えることで、聴覚障害児が見せる育ちの「なぜ?」を考えます。さらに、これを踏まえた授業デザインと
日々のコミュニケーションの在り方を 検討します。
